capybara camera

カピバラとかハンドメイドの記録です。

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G.マクスウェル『カワウソと暮らす』を読みました。

      2014/11/26

 - 読書

Ring of Bright Water/Gavin Maxwell
翻訳:松江ふみ子
 kawauso.jpg 
※wikiのGavin Maxwellより拝借
カピバラではなくカワウソの本を読みました。スコットランドの貴族の末裔であるG・マクスウェル著「カワウソと暮らす」です。今からおよそ50年前に書かれた作品です。作品は前半が彼がふとしたことから暮らすようになったスコットランドのキャマスフィアナという場所について四季や野生動物などを通じての描写。後半は、カワウソとの出会いと共に暮らした年月を描いています。
現代の感覚だけで読めば多少突込みどころもあるかもしれません。しかし50年前のスコットランドであること、スコットランドでのカワウソの暮らしは家の目の前が海、近くに川と滝などほとんど野生に等しいこと、そして何より「単なる動物好き」だけでは書けない文学作品としてとても読み応えがありました(※作者はカワウソと暮らす前からジャーナリストとしての活動をしている)。スコットランドときくと無条件に美しい自然、と思いがちですがいわゆる穏やかな美しさよりはやや荒涼とした海辺での物語です。
Otters
「ふも」
後半のカワウソの活き活きとした描写は本当に楽しいのですが、中でも印象的なのはカワウソのミジビル(通称ミジ)が自分で取ったお魚をくれた場面。ミジは夜になると自主的に家に帰りマクスウェルと一緒に寝ますが、昼間は自由に海や川で遊び魚を取って暮らしている。

ある日彼は、海中から顔を出して、岩棚に立っていた私の前まで来ると、長さ一フィートのカレイをぺたんと置いた。褒めてもらいたくて、見せに来たのだと私は思った。良い獲物だと、食べてしまう前によく見せに来たから。私はよかったね、と言って歩きつづけた。ミジは大急ぎで私に追いすがると、濡れた魚をぺたっ!と力を入れて私の足元に投げ出した。私にはまだ意味がわからず、ひょっとして私と一緒に食べようと言っているのかと思った。ミジは坐り込んで私を見上げ、チーチーと鳴いた。だがこのジェスチャーを、額面どおりに受け取るわけにはいかない。前にも記したが、人間が野生動物にたいして執る最も攻撃的な行動は、餌を奪うことなのだから。三十秒ばかり迷っていたが、ミジがなおもしきりに招待するので、用心しながらゆっくりと手を伸ばした。もし私が誤解しているなら、警告の声を発するだろう。だがミジは、私が魚を取り上げ、食べる振りをするあいだ、どうぞどうぞといった顔でじっと観ているだけだった。それから海に跳び込み、一尋の深さの澄んだ水のなかをすばやく泳ぎ去った。

自分で獲得したカレイを食べずに人間に渡すなんてなんだかぐっときます。他にもカワウソを見て気づくことが活き活きと描写されていました。スコットランドだけでなく、時折著者の用事でロンドンに行く際にも同行するミジ。そのうえロンドンで普通にカワウソを連れて散歩するのみならずハロッズデパートにまで行ってしまう。ハロッズで「セイウチですか?」と聞かれた、などエピソードひとつひとつ楽しめます。セイウチではないだろうw
Otters
チビウソさんたち
なお、50年前のスコットランドで出会える野生動物たちを知るのも本書の楽しみどころのひとつです。アカシカ、ヨーロッパヤマネコ、アナグマ、ネズミイルカ、無数の鳥類。特に印象的なのは、ニシンの群れが狭い入り江にいた→観察すると、サバの群れがニシンを追い込んでいた→さらに沖を見るとサバの向こうにイルカの群れがいてサバを岸へ追い込んでいた→さらに沖を見ると牝シャチの鰭が見えていた!

たった一頭のその恐ろしい姿がは、そこにいるだけで、彼と海岸とのあいだにいる何十億という生命に君臨していた。

それにしても作者の人生がかなり波乱に満ちていて驚きました。貴族の子として生まれオックスフォードに進学。その後連帯に属し少佐で退役。鮫漁産業を立ち上げ破産しそうになったあと、肖像画家になる(普通に肖像画家になれてしまうヨーロッパって一体・・・)。フリーのジャーナリストとして活動している時に西イラクでカワウソと出会い本書など数冊の書物を書いて大反響を呼び100万部以上売れ映画化もされる。その後結婚、離婚、キャマスフィアも破産状態になりその後家が火事で消失など…。思い立ったら行動を起こしてしまう性格で、生涯ロマンチストだったそうです。貴族っぽいわね…。
Otters
ぬーん
なお、カピバラにおいてはカワウソほど世界中に種がいないことなども関係しているのか、絵本や写真集はありますがこのような「カピバラ文学」部門が発達していません。その点は正直うらやましくも思いました。もし現在本書に匹敵するカピバラ文学を書けるとしたらアメリカテキサス州のメラニーさんかカナダのドビーさんの家の方、あるいはブラジルなどでカピバラの近くで生活されている牧場などの方々かなと思うので、できれば書いて欲しいなあとか…。なるべくならその土地の風土を組み込みながらだと嬉しいです(とても勝手な要望)。
ちなみに、本書は(おそらく)絶版??でamazonでは中古品が1点18900円という恐ろしい値段で取引されています・・・。



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