capybara camera

カピバラとかハンドメイドの記録です。

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舞踏会へ向かう三人の農夫/リチャードパワーズ

      2014/11/22

 - 読書 , ,

リチャード パワーズ
みすず書房
発売日:2000-04

Three Farmers on their way to a Dance / Richard Powers
超超超最高!!ああ、小説を読むってなんて楽しいんだ、と読み終わったあと達成感とかきゅるきゅる感に満たされるとてもすばらしい作品。マジ最高っす。アメリカの現代作家リチャードパワーズが1984年に発表し、2000年に柴田元幸氏によって翻訳されたデビュー作です。当時24歳でこれだけの「全部入り」作品を書いてしまうのがすごい。本当に全部入りでじゃんがらラーメンのような作品でした。ただ、沢山の登場人物が出てくるので関係性を理解しながら読むにはとても時間がかかるし一筋縄ではいきません。
時代が異なる3つの物語が交互に進んでゆき、最後にはそれぞれの関係が判明してくるという構成でした。
① 1984年のアメリカ、デトロイトの美術館で「舞踏会へ向かう三人の農夫」という写真を見て衝撃を受ける「私」。その写真を探求する「私」の物語。
 1914年のドイツ、ヴェスターヴァルトで春祭りに向かうあぜ道を歩いているところをカメラマンに呼び止められ写真に写る3人の若者たちそれぞれの物語。着慣れないスーツを着て春祭りに向かっているようで、実際に向かっているのは2ヶ月後から世界を一変してしまう第一次世界大戦と続く20世紀だった。
 1984年のアメリカ、ボストンで技術雑誌編集者ピーターが、仕事中にオフィスから見たパレードの中にいる赤毛の女性に目を奪われ手がかりを探しはじめ不思議な方向に進むピーターメイズの物語。
登場人物の関係性が割りと込み入っているので、大好きなブログの書評を参考にわたしも自分自身で人間関係図を作ってみました。私の関係図はどうもかなり間違っているような気がしますけどまあ気にせず。
ThreeFarmersOnTheirWayToADance-1
クリックしてflickrの最大で見ると綺麗に見られます。誰も見ないとは思いますけれども…
cacoo というオンラインソフトを使用したのですがほんと便利ですね。
名前のない主人公(でありかつ作者の投影?である)「私」は、デトロイトの美術館で写真を見て以降ひたすら20世紀を「知」の方面から語りつくしていく。写真論、伝記論、科学技術論・・・彼のパートだけで20世紀評論集として発行してもいいくらい。そのぶん読むのもハード。「私」の語りで2度ほど以前読むのを挫折したくらいです。変わってピーターメイズの物語はもう少しノリも軽くて、ちょっとしたロマンスなんかもあって楽しい雰囲気。3人の農夫のパートは3人は互いにじゃれているものの、迫り来る戦争と暗い社会が重くのしかかる。その3つの物語を繋ぐリングとなるのが自動車王フォードと女優のサラベルナール。このような実在した数々の著名人の姿も沢山垣間見られます。
とてもうまく感想を述べることなどできないストーリーなのですが、「20世紀を俯瞰する」という壮大な所業が成し遂げられている大きな作品であると同時に意外に一場面一場面が優しい。作者がいい人なのかもしれないっていうね・・・(根拠は特にない)。とりわけ、歴史と人々のつながりがほとんど判明した後の第26章、とある場面に戻るのですがその瞬間に胸いっぱい、胸きゅんな気持ちになります。ああ、ここが20世紀の出発だったんだと。
『自動車ってのは、出発点から目的地にできるだけ早くたどり着くためのものだ。わしはそのあいだで起きていることを人に見せて飯を食ってるんだよ。』 
(作中のカメラマンザンダーのセリフ)
パワーズがこれまでに発表している作品と翻訳されたもの:
Three  Farmers On Their Way to a Dance  『舞踏会へ向かう三人の農夫』 2000年 みすず書房
Prisoner’s Dillemma 『囚人のジレンマ』 2007年みすず書房

The Gold Bug Variations (黄金虫変奏曲、として長らく翻訳中らしいです。)
Operation Wandering Soul
Galatea 2.2 『ガラティア2.2』 2001年みすず書房
Gain
Plowing the Dark
The Time of Our Singing 『われらが歌う時』 2008年新潮社
The Echo Maker
Generosity

まだ4作しか翻訳されていませんが遅ればせながらどんどん読みたいなと思ってます。



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